はじめての「ゆるかわ写真」レッスン

この本に興味を持ったのは技術評論社から定期的に送られてくる新刊書籍案内を見てのことです。「ゆるかわ写真」というのが技術評論社の本のタイトルとして違和感がありました。会社のお金や自分のお金で技術評論社の本はずいぶん買っていますが、どれも「ゆるかわ」とは縁の無いものばかりだったからです。どんな本なのかな?という興味と、もともとカメラや写真には興味があるので、今回は自分のお金で購入しました。

私は以前に医療用のX線フィルムのコーティングに関する研究のお手伝いをしたことがあります。その際、フィルム会社の人から写真撮影用のフィルムやカメラについても色々と教えて貰いました。カメラのことは詳しいので、この本がターゲットとしている読者には含まれていないことは間違いありません。

この本を手にとると、まず出発点が異なることがわかります。我々(私と私の知り合い)は、ボケ味の美しいレンズがあるからこれで何を撮ろうか?というような発想になってしまいますが、この本では、まず撮りたい写真のイメージがあり、カメラをどう操作すればそれが撮影できるかという構成で書かれています。きれいな写真を撮るという目標は同じですが、その目標に向かう道のたどり方が全く逆なのが新鮮でした。

そのような構成の本ならば今までもあったはずです。しかし、この本を特徴付けているのはその作例です。「撮りたい写真のイメージ」がこの本では非常に明確になっています。それはひとことで言えば「ゆるかわ」という言葉で表される世界です。著者が日常大切だと思っているもの、そして、それを人に伝えたいと思っているものが作例として明確に表現されています。

これは、「カメラ女子」向けの本なのだそうですが、人生に少し疲れたおじさんにも新鮮で面白いかもしれません。はじめての「ゆるかわ写真」レッスンをお勧めします。